化学反応において立体化学は重要

有機化合物の反応性を平面構造で有機化合物の反応性を議論することはできません。
多くの場合、反応する有機化合物の立体化学が重要です。
下には、1位に水酸基、2位に塩素原子をもつ、テトラヒドロデカリン誘導体の塩基との反応を示しました。
trans-isoimer (A)の場合、
水酸基と塩素原子ともにアクシアル配置であり、対応する二面角が約180度とアンチペリプラナーな関係にあります。従って、塩基によって生成したアルコキシドアニオンは塩素原子が結合した炭素上でSN2反応が進行してエポキシドが生成します。
cis-isoimer (C)の場合、水酸基と塩素とは反応しない立体化学の関係にありますが、アクシャルに配置した塩素原子と3位のアクシアル水素との二面角が約180度とアンチペリプラナーな関係にあります。従ってE2型脱離反応が進行しアリルアルコールが生成します。
trans-isoimer (B)cis-isoimer (D)は通常の条件では反応しません。